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東京高等裁判所 昭和45年(行ケ)56号 判決

〔事実〕第二 請求原因

一、本件の特許庁における手続の経緯

原告は登録第五四〇九八二号実用新案「包装湿潤タオル」(昭和三三年二月二四日出願、昭和三六年六月二六日登録。以下本件登録実用新案という。)の実用新案権者であるところ、被告等三名は昭和三八年一二月六日本件登録実用新案につき原告を被請求人として登録無効審判を請求し(昭和三八年審判第五三八七号)、特許庁は昭和四五年四月一〇日右審判事件につき「本件登録実用新案の登録を無効とする。」との審決をし、その謄本は同年五月一一日原告に送達された。

二、本件登録実用新案の考案の要旨

適度に湿潤せしめて巻き込んだタオルをポリエチレン系その他のプラスチック製等の耐水性資材よりなる薄膜体により包装し、口部を密封してなる包装湿潤タオルの構造。

三、審決理由の要点

本件登録実用新案の考案の要旨は前項掲記のとおりである。

証人M、S、Aの各証言および右各証人の作成した証明書である甲第一ないし第三号証によれば、審判請求人(被告)星野は本件登録実用新案の出願前である昭和三二年八月から一一月までの間貸しおしぼりタオル業を営んでいたこと、同人の取扱つたおしぼりタオルは適度の湿潤度を保たせた濡らしタオルを適当に巻き込む、ポリエチレンからなる耐水薄膜体に入れ、両端の口部を融着密封した構成であることが認められる。本件登録実用新案の包装湿潤タオルと右認定のおしぼりタオルとを比較すると、後者が包装材料をポリエチレンに限定した点を除き、両者の構成は一致し、右相違点は単に材料を限定したにすぎないものであつてこれによる作用効果の差異は認められない。したがつて両者は類似するものと認める。

してみれば、本件登録実用新案は旧実用新案法(大正一〇年法律第九七号)第三条第一号に該当し、その登録は同法第一条に違反してなされたものであるから、実用新案法施行法第二六条によりなおその効力を有する旧実用新案法第一六条第一項第一号により、その登録を無効とすべきものである。

四、審決を取り消すべき事由

被告星野が審決認定のおしぼりタオルによつて貸おしぼりタオル業を営んでいたことは認めるが、同人が昭和三二年八月から一一月までの間右おしぼりタオルを貸しおしぼりタオルとして取扱つたことは否認する。同人が右おしぼりタオルを貸しおしぼりタオルとして取扱つたのは本件登録実用新案の出願の後である昭和三三年三月以降である。したがつて、審決は事実誤認の結果本件登録実用新案の新規性の判断を誤つたものであるから、違法として取り消されるべきである。

第三 被告等の答弁

原告主張の請求原因事実は全部認める。

第四 証拠関係<略>

〔理由〕原告主張の請求原因事実は全部当事者間に争いがない。右事実によれば、本件審決は、原告主張の違法があることが明らかであるから、取消を免れない。

(青木義人 瀧川叡一 宇野栄一郎)

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